海岸における漂着ごみ管理の区分(対策メモ)

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    4月よりコンクリート構造物の維持管理に関わる仕事を始め,現在その勉強中である。

    現代の膨大な量のコンクリート構造物に対して,その維持管理のレベルを全ての構造物や部材に対して同等に実施することは困難である。また必要もない。このコンクリート構造物の適切な維持管理には,構造物や部材の重要度や環境条件に応じて維持管理の区分を設け,適切な維持管理を実施することが重要である。

    これまで私は,「漂着ごみ対策における重点海岸の考え方は,その漂着量で決めるべきだ」と主張してきた。
    このコンクリート構造物の維持管理の考え方から海ごみ対策を考えると,以下のような考え方もできる。

    区分A:予防保全すなわち海ごみを漂着させないことを原則として維持管理を行う海岸。この区分では漂着のモニタリングは不可欠である。
    区分B:漂着後対策すなわち漂着することを前提にし,生じた漂着に対し対応することを原則として維持管理を行う海岸。
    区分C:点検のみにより維持管理を行う海岸。漂着が生じても回収は行わない。
    区分D:無人島など管理の行えない海岸。

    ただしこの場合,区分Cや区分Dには大量の漂着物が残り,そこから二次的に海ごみが発生することを認識しておく必要がある。

    これまでの漂着ごみの維持管理は,政府からの基金や補助金などの有無やその金額によって,区分Bの区間が増減するというものであった。また区分C,Dの管理については,海岸の利用がないことから,都道府県は消極的でり,政府もその地点数を増やすことや継続することもしなかった。
    何れにしても改善の兆しが見えない海ごみ対策については,いずれの区分においても,予測,点検(簡易手法によるモニタリング),評価の三つが重要であり,必要である。

    点検とモニタリング
    日常点検:日常の巡回で目視可能な場所を点検し、漂着の有無や量を把握することを目的とする簡易調査。
    定期点検:日常点検では把握しにくい漂着の状況を定期的に調査することを目的とする簡易調査。
    詳細点検:日常点検や定期点検といった比較的簡易な調査の結果,漂着量が多いと判定された場合,原因把握(流出地,構成品)や回収に対する詳細な情報が必要な際に行う調査。
    臨時点検:台風,洪水後などの大量流出があった場合の調査(総量把握)。
    モニタリング:漂着を防ぐことを目的として海の流れ,漂流物量,漂着物構成,流出地を継続して把握し,漂着を予測(予防保全)を目的とする。

    以上,対策メモである。
     

    オーシャン・クリーンアップ“V字浮き”設置,ほんとにいいの

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      朝日新聞に「漂流ごみ、V字浮きで収集 全長2キロ、対馬沖に設置へ」という記事が掲載されていました。
      このV字浮きは,オランダのNPO「オーシャン・クリーンアップ」の創設者ボイヤン・スラット氏が高校生の時に考えたV字型のフェンスを海面に設置し,中央部でごみを回収するという長大な装置です。2013年にこの計画が発表されてから,インターネットのクラウドファンディングで160カ国30万8千人から200万ドル(約2億4千万円)以上を集め,なんと対馬市(正確に言うと市長)がその設置に立候補し,市長がスラット氏とプロジェクトの合意書にサインしたということです(朝日新聞記事)。

      V字形の装置は、海水より軽いプラスチックが海流や風の力により自然にV字の中央に集まる仕組みで,魚やプランクトンなどは浮きの下から通り抜けるため、生き物への影響はほとんどないといっていますが,そう上手く機能するでしょうか。
      この装置の問題点と設置については美しい対馬の海ネットワークでも取り上げられていますが,発表時にもこんな意見が出ています。

      http://inhabitat.com/the-fallacy-of-cleaning-the-gyres-of-plastic-with-a-floating-ocean-cleanup-array/

      この装置を見ていただければわかりますが,平水で穏やかに風が吹くような湖水ならいざ知らず,冬の大しけや台風もやってくる外洋に設置するとは,あまりにも海を知らなすぎます。
      上部写真は10年前の対馬の海岸です。最近は国や県の回収事業により散乱ごみも減ったようですが,日本海に入り込む漂流ごみの通過点にある対馬は,海ごみの発生量が10年前より減っていない限り,回収を続けなければ上記写真のような状態に戻るのはすぐでしょう。小型のごみならいざ知らず,対馬に漂着するごみの多くは韓国のカキ養殖場で使用されている大型の発泡スチロール製のフロートであり,たとえこの装置にひっかかったとしても冬の大しけの日にはフェンスを容易に飛び越えて海岸に漂着するでしょうし,もちろんそんな時には回収には向かえません。平穏なときには機能しても,大量のごみが接近する大しけの日に機能しないのであれば,設置する意味がありません。対馬の海岸を歩けば気がつくことですが,この発泡スチロールのフロートやペットボトルは,海岸から山手側の森の中や山腹まで吹き飛ばされており,それだけこの島周辺の海象が厳しいということです。またその量も上記写真にあるように大量です。海岸に漂着する前に回収したいという気持ちはわからなくはないですが,南北80kmに渡る対馬の2km分ですから,対馬の漂着ごみ問題を画期的に解決する手法ではないでしょう。
      さらに全長2kmの装置には,付着生物もつくでしょうから,その管理も大変です。歴史のある定置網でも時化の日には流出することもあります。設置後,「漂流ごみ回収用V字浮き 対馬に漂着」ってことにならないことを祈っています。海岸での回収よりも費用と維持費がかかっては本末転倒です。

      私はこれまで漂着物の調査で対馬を何度も訪れました。個人的には大好きな場所です。水産資源の宝庫は同時に漂流ごみも集積します。対馬は,東シナ海と日本海をつなぐ対馬海峡に横たわるため,東シナ海から日本海に向かう中国,台湾,韓国のごみを受け止める天然の”オーシャンクリーンアップ”装置です。対馬だけに海ごみの漂着を受入ろという訳ではありませんが,対馬が日本海のフィルターとして機能していることは間違いなく,流出国と日本海沿岸の漂着地が対馬の現状を理解し,問題(海ごみ発生問題と海ごみ漂着問題)の解決に協力し合う必要があります。もし対馬海峡に対馬がなかったら,福岡県博多港や北九州港は海ごみで機能できなくなっていたかもしれませんし,関門海峡を通じて大量のごみが瀬戸内海に流入していたかもしれません。

      海をきれいにしたい場合は,流出して拡散したものを回収するよりも,海に流出する前に回収することが必要です。私も同じようなV字装置を川の河口に提案して河川ごみを回収するプロジェクトを世界に提案してみましょうかね。でもどこかの国の河川管理者からは,洪水時に災害を生むため,そのような設置の許可は下りないでしょうがね。


      友が島の漂着ごみ

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        大阪湾の南に浮かぶ,和歌山県友が島(2006年9月3日)
        先月,毎日放送のVOICE"憤慨本舗”に出演しました。
        http://www.mbs.jp/voice/special/archive/20150525/
        これは,友が島で長年漂着ごみを回収しているNGOゴミンゴ・ゴミ拾いネットワークさんからの依頼もあってお引き受けしたものです。
        内容はしっかりしたもので,CGもよくできています。

        上記写真は2009年9月の友が島の様子です。砂浜の茶色は海藻ですが,浜の奧(写真左側)にある石の間にはたくさんのプラスチックごみが漂着しています。

        海岸から一段上がった民宿の庭先にもごみが散乱。これは漂着ごみが吹き上がったものでしょう。

        友が島は亡き祖父と2人で初めてハイキングに行った場所です。
        40年前,海岸で初めてカメノテを取った思い出の場所で,海に憧れるきっかけの一つと言えますが,現状を見ると非常に残念です。
        神戸に引っ越して来てまだ海には行けてませんが,大阪,神戸の街中にはたくさんのごみが散乱しており,解決への道はまだまだ遠いことを感じています。
         

        久しぶりに絵を描きました。

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          新作「引っ越し」です。
          ヤドカリは体の大きさにあわせてそれまで住み慣れた家を捨て,新しい家に移り変わります。
          私たちは体が大きくなった訳ではありませんが,新しい生活を始めようと決めました。
          そんな気持ちで書きました。

          さて子供たちの作品も紹介します。


          長男作「マトリョーシカ」
          なぜマトリョーシカなのかは意味不明です。
          引っ越しの混乱なのか,神戸とは何かがまだ十分わかっていないのか。


          次男作「ぼくの友達」
          この1,2,3正解できたらすごいです。
           

          大西洋に行ってみた。

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            2015年4月,米国マサチューセッツ州ボストンを訪れる機会がありました。
            少し自由時間がありましたので,朝7時,ニットの帽子をかぶってコートを着て,
            ホテルで教えてもらったレヴィアビーチに向かいました。

            レヴィアビーチにはボストンエアポート駅から地下鉄ブルーラインで終点のワンダーランド下車。
            ワンダーランドという名前に期待したのですが,立体駐車場とバス停のみの寒々しい駅でした。
            なおこの地下鉄,国際空港の接続駅(エアポート駅)にも関わらず,乗り方が理解できません。
            困っていたら駅のおじさんに切符の買い方を教わりました。12ドルの一日券もありましたが,
            5回以上乗らないともとが取れないので普通券を購入しようとしたのがだめだったようです。
            2.65ドルを手入力して購入しました。

            さて,訪れたレヴィアビーチは米国初のパブリックビーチです。
            ホテルで「何しに行く?寒くて泳げないぞ。」って言われて、ビーチコーミングに行くんだと返事したら,「何だそれ?きれいで何もないぞ」って言われました。

            初めての大西洋の感想は「寒かった」の一言です。
            海岸には大きなバカガイ?の貝殻が打ち上げれており,プラスチックごみはありません。
            もちろんライターを見つけることはできませんでした。
            きれいな海岸に残念な思いを抱く病気はまだ治っていないようです。
            しかし発泡スチロールの破片が一部に散乱していました。

            といっても,これまで訪れた北米の海岸にはほとんどごみが無く,残念なぐらいきれいでした。
            しかし,一旦街中を歩くと路上にはごみが目立ちます。これはハワイでも同じです。
            大阪の街中と同じレベルなのには,海岸とは違うがっかり感を感じてしまいます。

            Old North Churchの前にも

            バッテリー埠頭通りにも

            コップスヒル墓地の前の通りにも。
            ボストンは歴史の街ですが,路上のごみを見る限り,米国のごみ問題への取り組みはまだまだのようです。


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