海ごみ対策にはまず陸域美化が必要です。

0

     瀬戸内海で最も遅く海ごみ対策の地域計画が策定されたのが広島県と大阪府(平成29年3月)です。ライタープロジェクト瀬戸内海版の結果,両府県の特徴は,他県からの漂着というよりは他県への漂着が主であることが指摘されており(藤枝 繁,指標漂着物を用いた瀬戸内海における海洋ごみの流れと起源の推定,沿岸域学会誌,22(2),27-35,2009参照),大阪府と広島県の地域計画が最も遅れたことは大変残念なことです。周回遅れが否めませんが,ようやく瀬戸内海全体の海ごみ対策がスタートしたと言ってもいいでしょう。

     さて始まったばかりという大阪府に新たな課題を突き付けるのは酷なことですが,優先的に考えねばならない問題があります。それは陸域の散乱ごみ(ポイ捨てごみとタバコの吸殻)です。これまでの研究の結果,海ごみは陸域から河川を通じて流れ込んでいることがわかってきました。大阪も人が住むエリアは比較的きれいにされているのですが,幹線道路にはたくさんのごみやタバコの吸殻が散乱しています。

     昨年,G20が大阪で開催されるのを機に,大阪府も何か実行せねばということで,6月1日,大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で『海洋プラスチックごみ問題から考える SDGsシンポジウム』(主催:大阪府・関西広域連合)が開催されました。私はこれまでの瀬戸内海海ごみ調査の経緯から,「海洋ごみ問題の現状とその対策について」と題した基調講演を依頼されました。しかし瀬戸内海海ごみ調査はもう10年前の話。せっかくお話しするならと,以前から気になっていました街中のタバコの吸殻の散乱実態と港湾部の散乱ごみ実態について緊急調査を行い,このシンポジウムで発表することにしました。

    左:大阪府庁咲洲庁舎(左)この周りにもごみは散乱していた。

    右:タバコの吸殻が大量に散乱(白い点)しているポートタウン東駅付近の道路

     

    方法は,お決まりの自転車を使ったごみマップ法です。5月のGWを使って2日間,JR大阪駅から本町までの御堂筋周辺と大阪南港G20メイン会場であるINTEX大阪の周辺が調査場所です。この調査で分かったことは,

    (1)人の住むエリアにはごみはないということ,逆に言うと人の住んでいない港湾部や幹線道路に沢山のごみが散乱していること。

    (2)タバコの吸殻でごみマップを作ると地域の清潔度を計れそうなこと。

    (3)研究者一人がごみマップを作っても関係者(地域住民・企業,行政担当者等)は他人事のように感じ,対策が進まないこと

    です。特に(3)については,きれいなごみマップを作ることができましたが,そこで終わり。ごみマップは関係者で作って問題点を指摘し合って解決への行動に結びつけるツールであることを久しぶりの調査で思い出しました。

    ▲大阪南港の陸域散乱ごみマップ

     

    詳しくは藤枝 繁:海洋ごみの起源となる陸域(路上)散乱ごみ調査の試行 漂着物学会誌17,pp.5-10をご覧ください。

     



    calendar

    S M T W T F S
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930    
    << June 2020 >>

    selected entries

    categories

    archives

    links

    profile

    search this site.

    others