発泡スチロール製防舷材の問題

0
    先日の鹿児島県漂着物対策推進協議会での話。
    鹿児島湾では,かつて養殖漁業に使う発泡スチロール製フロートの破片の散乱が問題になっていました。平成元年,鹿児島湾を襲った台風によって垂水市の養殖生簀が全没した事故から,養殖漁業関係者は,発泡スチロール製フロートメーカーと共同で水没しても浮力を失わないフロート(発泡スチロール製フロートは水圧を受けると気泡がつぶれ浮力を失う)を開発し,10年を経てほぼ置き換えを完了させました。その後,水産庁による漁業資材のリサイクル開発事業が始まり,交換された廃フロートの処分が鹿児島湾でも一気に進みました。これにより,漁業者が「使用済みフロートを海岸に積み上げ,それが台風で流されて海岸に漂着し,大量の破片を発生させる」という最大の問題点が解決され,漁業からの廃フロートおよび破片の発生はほぼストップされました。また鹿児島湾では,この10年間,年に二回のクリーンアップが行われ,人が入れる海岸に漂着したフロートもほぼ回収されました。


    さらに,今年はこれまでクリーンアップができなかった桜島周辺の溶岩海岸での回収が国からの補助金を使って行われます。これで漂着フロートからの発泡スチロール破片の発生がほぼなくなります。

    しかし,残念ながら,もう一つだけ残された問題があります。
    それは港のプレジャーボートの防舷材やフロートに,この発泡スチロール製フロートが大量に使われていることです。このフロートは,海岸に漂着していたものを再利用したものですので,ボートオーナーにとっては無料の資材です。使用しているうちに削れて小さくなっていきますが,これが発泡スチロール破片の最後の発生源となっています。



    ここまでが前振りです。

    さて,今日の協議会では初めてプレジャーボートを係留している港の関係者にオブザーバーとして参加していただきました。普段から海に出られるみなさんは,港の清掃や洋上でのごみ回収の実施等,海ごみに対する意識が高く,この発泡スチロール破片問題についても積極的に取り組みますとの声をいただいています。そんなプレジャーボートのオーナーさんから,「発泡スチロール(フロート)は,港の清掃をした際にごみとして持って行ってもらえず,小さく切って自宅で一般廃棄物として処理しているが,何とかならないか。それができないと交換しても廃棄できない」との意見を頂きました。

    漁業者が使っている漁具であれば,産業廃棄物であり,その所有者が処分をしなければなりません。漂着しているものを利用した場合も,利用者が私的に使っていたものであれば一般廃棄物として処分することになります。ただし処分したいのは大きなフロートです。一般廃棄物のルートでは処分できませんし,私物の処分を行政が税金を使って手伝うこともできません。ここでも一般廃棄物(一廃)と産業廃棄物(三廃)の中間の性格を持つ海ごみの問題が顔を出します。(これ(海ごみ)を私たちは「二廃」と呼んでいます。)

    行政担当者は「法律」を盾に「それはむずかしい」といいます。法律にしたがって仕事をするのが行政担当者ですから,これはしょうがない。でも,できない理由を法律を使って説明するのは本当の姿なのでしょうか。ぜひともできる理由として法律を使い,もし問題があるならば,法律を改訂するぐらいの思いを持ってほしいものです。法律は天から授かったものではなく,人間が作ったものですから,人のため(行政担当者ではなく,国民のため)に利用しなければなりません。協議会では,具体的な解決策を提案することは来ませんでしたが,海ごみサミットで各地の様々な取り組みが紹介されたように,いろんなところでいろんなアイデアをもとに対策を実行していれば,どこかにヒントがあるはずです。ボートオーナーのみなさんの協力を頂きながら,最後の問題の解決に取り組んで行きましょう。
     

    この記事のトラックバックURL
    トラックバック

    calendar

    S M T W T F S
         12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31      
    << March 2019 >>

    selected entries

    categories

    archives

    links

    profile

    search this site.

    others