ボランティア活動と人のつながり

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     10年ほど前,大学教員をしていた頃,大学卒業後,企業に就職してサラリーマンになった自分と「最近どうね」とお酒を飲んで仕事のこと,家族のこと,趣味のことなどをたくさん語りたいなと思っていました。私は大学卒業後,これまでいろんな出会いがあって大学の教員となり,好きな研究をし,自分なりに授業を考え,学生の皆さんと一緒にいろんなことをやってきました。その出会いの中から,海岸清掃活動を通じたボランティア活動を始め,いろんな方と出会い,影響されて自分の進む道が大きく変わりました。もう少し正確に言うと,自分の進むべき道が「はっきりとしてきた」といった方がいいでしょうね。

     現在,憧れのサラリーマンとして一年半が経ちました。過去の自分とお酒を飲みに行くことはできませんが,最近,自分の生き方が以前とちょっと違うなと思うようになりました。特に営業でいろんな方と出会うようになりましたが,これまでお会いしてきた人とは大きく違うのです。それは何だろうかと考えるようになりました。そう,簡単なことなのですが気がついたことがあります。昔,水中音の研究をしていたころ,知り合う人は学会で会う同じ分野を研究する先生だけでした。そのときも,そこに何か寂しさを感じていました。現在の仕事では,もちろん多くの人と出会えますが,分野が偏り,仕事以上の関わりには発展しません。出会っても人生が大きく変わるということがないということです。

     出会いといえば趣味の世界でも出会いがあります。しかし好きなことで出会う人は波長が合えば良き友となるかもしれませんが,私にとっては常にライバルのような存在に写りました。浜を歩けばお宝を分け合わなけれななりませんし,波に乗れば波を取り合うことになります。シーカヤックに乗れば誰よりも速くゴールしたり,誰もが知らない場所に行ってみたくなり,誰よりも前にという思いが出てしまいます。

     でもボランティアで出会った人とはどうでしょうか。仕事やお金の関係でもなく,また好きなことでもなく,同じ未来を望んで集まるボランティア活動には,いろんな職業の人がいて,歳もバラバラ,またそれが世界中にいて,汗を流して経験を共にし,未来や歴史,文化いろんな話をすればするぼどどんどん付き合いは深くなり,自分の生き方に強い影響を受けます。

     海ごみと出会う少し前,ナホトカ号の重油流出事故のボランティアに鹿児島から京都の網野町に向かう途中,JR大阪駅感じたことがあります。日本海側では大変なことになっているにもかかわらず,大阪駅のホームはこれまでと同じ沢山の人が,海とは全く違った方向を向いて電車に吸い込まれて行くということです。丹後行きの列車に乗りましたが,この列車にもどれだけのボランティアが乗っているかと思うほど,いつもの車内でした。丹後で出会った多くの方が語る「裸足で歩ける砂浜」をという考え方に共感し,その後,ごみのない海を目指してボランティア活動を続けてきましたが,現在,あのときの列車に中に吸い込まれる人の立場になって,そのときの思いがなんだかわかるような気がしてきました。サラリーマンであっても仕事以外の出会いがある生活をすることが人生を楽しくすることではないでしょうかね。すっかり遠ざかってしまいましたが,少しずつ海に戻りたいと考えています。


    第12回海ごみサミット/2014山形・庄内会議

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      第12回海ごみサミット/2014山形・庄内会議が,平成26年7月25日,26日,山形県鶴岡市のマリカホールにて行われました。
      120人に及ぶ政府,地方自治体,NGO,市民,さらには韓国,台湾のNGOが参加して「森・川・街・海が連携した海洋ごみ対策に向けて」様々な議論が交わされました。ここでは薄れて行く記憶を止めておくために,私の個人的な感想をまとめておきます。

      私はここ数年は国内だけでなく,震災起因漂流物調査で北米を歩く中,以前にも書きましたが,海ごみ問題の解決には「現地に行ってみて,いっしょに汗をかいて,いろんな話をすることによってバックグランド(歴史や文化)を含めて相手を理解することができ,問題の本質が見えてくる」と感じています。今回のサミットでもいろんな方とお話ができ,アンケートには出て来ない問題点がわかってきました。

      さてこのサミットでは,議論のたたき台として第2回目の都道府県アンケートを実施しました。その結果,第1回(2010年)と比較してこの4年間で市町村への支援が充実したことがわかりました。これは明らかに国からの財政支援があったためであり,支援が途切れた2012年はその活動数,規模も大きく落ち込んでいます。現在の地域環境保全対策費補助金(海岸漂着物地域対策推進事業)も今年度で終了します。もし来年以降,国からの財政支援がなくなると,都道府県の対策はまた以前の状態に戻るのではないかと心配してしまいます。そのためにも,お金のあるうちに,お金がなくなっても続けられる体制やものを作っておく必要があります。

      またアンケートでは,この間,都道府県には国からの財政支援があったものの,環境教育,現状把握(モニタリング),普及啓発,発生抑制対策,人材育成については引き続き対応が不足していることがわかりました。これらについては都道府県でもどのようにすればいいのか困っているようです。特に人材育成については,NGOの育成だけでなく,行政担当者や研究者(専門家)の育成も必要だと考え,取り組みを始めているところがあることもわかりました。しかし、今回のサミットには,環境省の海岸漂着物対策専門家会議のメンバーや海ごみの研究者の参加はほとんどなく,現場の声は専門家には届いていません。これら専門家は,各省庁の役割に関する専門家や科学の謎を解く研究者としての立場ではなく,ぜひ海ごみ問題の解決にも関心を持って,現場の苦悩を感じて解決策をいっしょに考える専門家になっていただきたいと感じました。また各地域の協議会の会長の参加もありませんでした。全国的な対応についての情報を収集し,対策に活かそうという姿勢が見られなかったことはとても残念です。ちなみにいろんなところに顔を出している私ですが,私に相談しても問題は解決されませんよ。みなさんの知恵の方がきっと優れていますし,みなさんの行動が必要ですから。

      さらにこの数年で様々な海ごみ調査ツールが編み出されてきました。ICCや漂着散乱ごみ指標評価法,Webカメラによるモニタリング,またWebを使ったそれらデータの入力ツールなどがあります。しかしその手法を使うだけでは問題の解決はありません。問題を解決するためには,得られた結果を使って解決方法を議論する場が必要であり,さらにその結果を行動に移すことも必要です。それで初めて解決に向けて動き出すのです。ICCでは,海ごみサミットや海ごみプラットフォームを通じて問題点を議論し,2009年に海岸漂着物処理推進法を成立させるに至りました。調査・議論・行動の結果,解決に使う法律というツールを得ましたが,これはまたツールなので,持っているだけではまだまだ問題解決には至りません。この間,国,都道府県,研究者もさまざまな調査を行うようになりましたが,ぜひ調査の結果を議論する場を設け,対策を実行するところまでセットにした本当の対策を実行していきましょう。

      ただし何か一つですべてを解決する方法はありません。動き出したからと言って油断してもいけません。いろんな調査+議論+実行を重ねながら,少しずつ前進していきましょう。最初は前進していることがわからなくても。
      11年ぶりに訪れた飛島の美しい海岸を見て,重ねること,続けることの必要性を再度心に刻みました。

      11年ぶりの飛島へ

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        飛島は山形県唯一の離島で,酒田港から定期船で1時間15分,約40kmの船旅である。新潟県の佐渡島,粟島に続く島で,高さが100mもない島なので,酒田から目視では眺めることはできない。今回は「第12回海ごみサミット2014山形・庄内会議」のフィールドワーク(2014.7.24)で訪れることになった。前回訪れたのは2003年の離島ごみサミットのときである。

        船は珍しい双胴船。幅が広い分,横揺れが大変だ。


        飛島までの間に数本の潮目を横切った。もちろんごみを集まっている。


        洋上は白波こそなかったが,西からのうねりがあり,双胴船の船体は左右に大きく揺れた。やっと着いた港から鳥海山。


        港から集落の中を進む。この船,11年前に来た時にもあったような気がする。


        海岸は港から歩いて30分。一山越えた西側にある。この道は車が通れないので,海岸で集めたごみはバケツリレーで中央の舗装道路まで運ばねばならない。


        2003年に訪れたときは,海岸の砂が見えないぐらい漁網やプラスチックごみが堆積していた海岸だが,ほとんどごみがない。一歩も歩かずに両手一杯のライターを集めたころが懐かしい。今年5月に毎年恒例の飛島クリーンアップがあり,その後もエコツアーでビーリクリーンアップのプログラムを採用する等,少しずつ手を加えることで,ここまでの海岸を勝ち取った。

        そう言えば私が海ごみと出会った丹後の海岸で最初に感じたことがある。「冬,時化はたくさんの油を海岸にもたらす。回収をしてもすぐにもとに戻ってしまうが,春が近づいてくると次第に時化の数も減り,人による作業が進み,最後には砂だけの浜が戻った。諦めずに続けること,多くの人に助けを求めることが大切。」ということを思い出した。

        ごみの集積量が多くても,重点的に回収することによってある段階まで低減できれば,以後は通常の管理で賄えるようになることがわかった。なので海洋ごみ密度を低減するための重点海岸は,代わってもいいし,対策が進めば次第にその数も減って行くことになる(ただし,国からの基金等を使う場合は重点海岸にしておかないといけないのがお役所仕事)。でも集積していたということは漂着し易い海岸であることは間違いない。なので,きれいになったからもう何もしなくていい訳ではなく,管理の重点度を他に移しつつ,現状維持の管理は続ける必要があるということ。そうすれば,維持管理費も低減できる。


        最後は西村食堂で「島のラーメン」を注文。トビシマカンゾウというユリの塩漬け(オレンジ色のもの)が入ったあっさりスープのラーメン。夏はカフェもオープンし,美味しくゆっくり時間を過ごすことができます。

        ICCごみ分類法(山形県遊佐町でのモニターツアー・エコタビに参加して)

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          これも先月の話ですが,山形県庄内海岸で行われましたモニターツアー・エコタビ遊佐会場に参加してきました。(主催者のNPO法人パートナーシップオフィスによる報告はこちらをご覧下さい。)山形県庄内地方はこれまで何度も訪れているのですが,地吹雪っていうのを体験したことがありません。(そんな時は飛行機飛ばないでしょうが)ということで初めての冬の庄内にワクワクしながら行ってきました。残念ながら当日はとっても暖かく(地元の人曰く),雪の積もった海岸でのクリーンアップです。先月の鳥羽の方が寒かったぐらいです。


          飛行機の関係で他の皆さんより少し遅れて海岸に到着。日本海のごみだらけの海岸にうずくまる集団を発見。
          5mのコドラートの中のごみを丁寧に回収中でした。

          20人で30分ほど拾っても5m×5mの範囲しか拾えきれません。その周りにはまだまだ沢山のごみが残っています。

          大きなごみを拾ってもその下には米粒サイズのプラスチックの破片が散乱しています。
          2013年の3月にアメリカのNGOの皆さんがこの庄内の海岸を視察されてびっくりしてたのを思い出します。

          ここからようやく本題です。これまで各地でICCをやってきましたが,「調査は面倒」や「全部回収できない」といった意見をいつも頂きます。そこで調査と回収の折り合いを含めて,ICCの実施方法をまとめてみました。

          ◆回収方法の選択(拾ってから分類するか,拾いながら分類するか)
          鹿児島では漂着ごみの量がそれほど多くないので,ICC(国際海岸クリーンアップ)をする時は,回収しながらカードに記入する方法をとっています。この場合は,事前にカードの中身をしっかり参加者に説明しています。また子供たちと行う場合はアドバイスできる大人を配置しています。さらにあらかじめ参加者数とごみの推定量から,すべてのごみが回収できる範囲を決めて行っています。そのため範囲は100m以上と広いですが,拾い残しはありません。ただし,前述の答志島の奈佐の浜やこの遊佐の海岸のようにとんでもなくたくさんごみが堆積している場合は,5m×5m程度の区画を人数分設定し,区画内をすべて回収する方法がいいです。(この方法を鹿児島ですると3分ぐらいで終わってしまいます。)調査よりも回収をメインにしたい場合は,区画内を回収した後,時間が許す範囲で周囲のごみを回収する,または回収と調査を並行して実施する方法がいいでしょう。
          <手順>
          (1)全量回収できる調査区画を決める。(回収時間と分類時間を考慮して範囲を決定する。)
          (2)調査区画・範囲内を回収する。
          (3)調査区画以外のところは,調査区画内回収後に,または調査班と回収班に分かれて回収班は区画外を回収する。これは区画内には拾い残しが無いという状態にするためです。
          (4)必ず密度を算出するため区画長さを記録する。
          本当ならば区画数や区画長さ,間隔などを細かく決めておく必要がありますが,最低の区画長さ(5m)のみ指定して,結果を密度で評価できるようにしておく。
          (5)評価は,どれだけたくさん拾ったか(総量)ではなく,密度と構成割合で行う。なお総量は,区画外を含めた回収物の重さのみで評価する。

          ◆分類方法
          「拾ってから分類する方法」を採用した場合,風の影響を受けない静かな場所を確保する必要があります。今回は近くのコミセンの一室を借りて分類しました。

          カードの中身を皆さんがわかっていれば何も言わずにできますが,多くの方が初めての場合は,以下の手順で行うと参加者がフリーズすることなく行えます。
          <準備>
          (1)カード記入係を決め,記入方法を伝える。
          (2)ごみの処分方法に従った分類を確認する。(瓶,カン,プラすべて一緒or別か)
          <手順>
          (1)袋の中から回収物をすべて出す。
          (2)まず最初に,分類し易い5品目(ペットボトル,飲料缶,飲料瓶,ロープ,レジ袋)を指示し,分類する。ある程度分類できたらそれらを数え,数え終わったものから処分方法に従って袋に入れる。なおこの5品目は,回収されたごみの内容を見て決定しても良い。目安は誰にでもわかるもので大きく沢山あるものです。
          (3)次に小型のもので分類し易い5品目(ライター,ストロー,スプーン類,タバコフィルタ,ガラスの破片,洗剤のボトルなど)を指示し,分類する。ある程度分類できたら数え,数え終わったものから処分方法に従って袋に入れる(以下同じ)。この際,前述の品目が出てきた場合は追加して数えて申告する。一度にすべてを指示するのではなく、5品目ずつ進めるといよい。
          (4)(3)までで,ある程度わかり易い物は分類を終えています。次は説明を必要とするもの(ストラップバンド,カキパイプ,フロート,注射器,花火)の分類を指示する。
          (5)さらに,一つの品目に複数のものが含まれるもの(生活雑貨:歯ブラシ,洗濯バサミ,ハンガー,ボールペン,おもちゃ:ボール,フィギア,食品容器:プラスチック,発泡スチロール,紙,食品包装)を例を挙げて分類を指示する。
          (6)破片類を除くカードの項目を最初から読み上げながら,少ないもの(金属キャップ,建築資材,家電製品など)やまだカウントしていないものの分類を指示する。
          (7)最後に長辺2.5cm以上(ペットボトルのキャップ以上)の破片類を分類する。
          (8)長辺2.5cm以下の微小破片や調査品目以外のもを数えず集めて袋に入れる。

          ごみのない海のためにあなたができること10

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            オーシャンコンサーバンシーが, "10 Things You Can Do For Trash Free
            Seas" というポスターを作りました。さてみなさん,できますか?




            JEANサイトリニューアル

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              一般社団法人 JEAN のウエッブサイトがリニューアルされました。
              ICCの会場結果が個別に閲覧できるだけでなく,e4SHOPでの資料やお勧めグッズ販売もはじめました。どうぞご利用ください。
              http://jean.jp/



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